私が呼んだのは、たぶん君だった――。
- ★★★ Excellent!!!
最強の召喚物を、禁忌魔法で呼びだす。
ルニエ・ツェルニク召喚士(以下ルニ)が、進退をかけて挑んだ召喚魔法は、みごとに失敗。
召喚とは逆に、自分の身体を、異世界――地球――に転移させてしまった。
だが、そこで一巻の終わりとはならなかった。
そこで出会った柊颯太は、古武道の剣術をたたき込まれた最強の男だったのだ!
ルニは、彼を召喚物として、彼女の世界に連れ帰ることを決意した――。
地球を異世界だと捉えた逆転の発想!
そのアイデアを成立させるじっくりと作り込まれた世界観。
それが、草詩さまのたしかな筆致のおかげで存分に堪能できる。
ルニと颯太、話ごとに視点が交互に変わるので、ストーリーを二倍楽しめた。これも筆力のなせる技だろう。
世界観だけではなく、キャラも生き生きとしていて、とくに研究熱心なルニがかわいらしい。
できれば、2万文字の制限数を気にすることなく、充分なボリュームで書かれた本作を読んでみたかった……。それだけ「もっと読みたい!」という読書欲をかき立てられた作品だった。