【ネタバレあり】好機ドーテイ的問題(3秒ぐらいで考えました

レビューの中にこの作品の真相に触れる部分があります。未読の方はご注意ください。
























本作『オーバーライト』をお読みになった皆さん。この作品は非常に怖い、そして巧いミステリでしたね。
もう読み終わって私は怖くて怖くて怖くてたまりませんでした。


何が怖いって?それは










純な童貞主人公を操るヒロイン(真犯人)の存在がです!!



いやーもうすべてがヒロインの掌の上!!主人公はかわいそうです。ちょっとばっかし察しが良くて童貞だったばかりに絡新婦に狙われてしまったのです。

特に第8章「暖炉のそばで」でのこの会話なんてガクブルものです。
以下、本文より少し引用します。

「ひとつ、先輩に聞きたいことがあるんです」



 春頃に進路のことで相談を持ちかけたときも、同じような切り出し方だった。進歩がないなと自重したくなるが、津川先輩は嫌な顔ひとつせず、あの時と同じ優しげな声で「私でよかったら、聞くよ」と言ってくれる。



 だからぼくはなけなしの勇気を振り絞って尋ねることにする。
「もし、もしもですよ、自分にとって大切な人がひどく危うい道を進もうとしているとして、先輩ならどうしますか? どうしたいと思いますか?」



 先輩の瞳の奥で、何かが揺れたような気がした。



「――その大切な人は、危うい道だということをわかっていて進もうとしているのかな」



「おそらく」



 ぼくが答えると、先輩は目を閉ざしてしばらくの間考え込んだ。



「それなら――」



 やがて、先輩は言った。



「それなら、私は何も言わない。私がその人の立場だったら、見守っていて欲しいと思うから。そして、望んで良いのならば、これからも変わらず大切に思っていて欲しいと望むから」


今度はぼくが沈黙する番だった。スツールの上には、銀色のICレコーダーとそれに、真鍮でできた音楽室の鍵。グランドピアノの後ろには、やたら大きなスピーカーが取り付けられたシステムコンポが見え隠れしている。


この会話はもちろん初読時は前章までを踏まえると
大切な人=糸川志紀
と思われていたのが
10,11章まで読み進めると主人公にとって
大切な人=津川雅
という我々読者のミスリードを狙って書かれた文章だと分かります。




そして最終章である13章を読み終えたときこの会話の真の怖さが白日の下に晒されます。
では、このときの真犯人であるヒロインの心情をわたしの勝手な想像ではありますが副音声にして表してみたいと思います。


「もし、もしもですよ、自分にとって大切な人(津川雅)がひどく危うい道を進もうとしているとして、先輩ならどうしますか? どうしたいと思いますか?」



 先輩の瞳の奥で、何かが揺れたような気がした。
津川パイセン(キターーーーーー(゜∀゜)ーーーーーー!!フィッシンーーーーーグ!!釣れた釣れた釣れた!!童貞オタクちょろ!!ちょろすぎ!!ちょっとピアノ聞かせてお茶して会話しただけで惚れやがったよ!!これだから童貞は扱いやすい!!やっべーーーー!!笑いがとまらねーーーーー!!ドワハハハハハ!!ゴホッゴホッ!!ゴホン!!いや、いかんいかんいかん!!冷静にならねば!!ここが一番の勝負時!!何事も詰めが大事!!ここで私がどう応えるかでこの後の展開が決まる!!冷静に冷静に。えーーーーっと)


「――その大切な人は、危うい道だということをわかっていて進もうとしているのかな」



「おそらく」



 ぼくが答えると、先輩は目を閉ざしてしばらくの間考え込んだ。
津川パイセン(プププっ!!なんだよ大切な人ってwあっ!?大切な人ってあたしのことかwがはははは!!っーーーか危うい道を進もうとしてるのはおまえだよ!!お・ま・えwwwいやーーー中途半端に頭が良かったり勘が良かったりするのは気の毒だねーー。)


「それなら――」



 やがて、先輩は言った。



「それなら、私は何も言わない。私がその人の立場だったら、見守っていて欲しいと思うから。そして、望んで良いのならば、これからも変わらず大切に思っていて欲しいと望むから」
津川パイセン(き、決まった!!これでこの童貞くんは色々勝手に察してあたしの狙い通り実行犯として理浦のクソ野郎を殺してくれるんだろうな♡哀れな童貞くんを操ってそう仕向けたのはあ・た・し♪真犯人はあ・た・し♬これってミステリとかでなんて言うんだっけ?えーーーっと確か後期クイーン的問題?まあこの場合はあたしにとってはちょーど良いタイミングで童貞くんが理浦を殺ってくれるんだから好機ドーテイ的問題ってところかw)

とか思ってそうで怖くないですか!!(いや、全部わたしの妄想なんですけどね