在りし日々を象ったライトモチーフ

これは終わらない時間というモノをかなり意識して書かれてる作品です。
永遠の象徴たる日常を土台にしてる事はモチロンですが、十三番から一番に移行するという意図を曲調に潜ませ、循環する時間を象ったトロイメライという楽曲が兼ね備えた構造を、存分に活かしていることからもそれは明らかであるように思えます。
人はみな、目を背けたくなる場面に相対した時、在りし日を思い焦がれます。その意識の動きを楽曲の意図と符合させ、
本来は物語に干渉できないハズの読者の意識をも作品の枠組みの一部として取り込み、オーバーライトが有した永続性に寄与させているのではないか。そう思います。
願わくばこの縁取られた時間が、彼らにとってもよき時間でありますように。そう願いをかけずにはいられません。

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