この唇は、想いを伝えるために

 高校の放送部を舞台にした、部活にかける青春、を地でいく作品です。少々不穏な科白の出だしからぐいと引っ張られ、短いからではなく一気に読めます。無駄がなく、テンポがいい。それでいて、放送部員たちの大会と放送にかける熱い想いが作品の隅々にまで行き渡っていて、伝わってくる。そしてラストのいちゃいちゃ(笑)。こんな部活をしたかった……。

 裏方で地味と思われがちな放送部が、実はこんなにも熱いものとは。そう感嘆させられました。