【作品概要】
さらわれた姫(おかん)を助けだせ!
愛(親子)と勇気(サラリーマン的)の異世界ファンタジー!
【作品のみどころ】
ハイテンションで笑いたっぷりに届けられるマシンガンコメディー。
だがその根底に流れるオカンの想い、オトンの想い、そして息子との家族の強いきずな!(ちょっと大げさです)
異世界の魔物とのバトルシーン、なぜか食欲をそそる異世界料理の数々、息子の抱える現代社会への問題提起。
欲張りなほどにテーマ・見どころを盛り込みながらも、語り口はあくまで軽く、力強く飄々と物語は突き進んでいきます。
といろいろ書いてみましたが、とにかく問答無用でパワフル、そして面白い。
こういう笑いを書かせたら本当に天下一品です。
ぜひ読んでみてください。
大阪には縁も所縁もないのに、何故か関西弁の「おかん」
そのファッションセンスも、私たちが想像する「大阪のおばちゃん」そのものです。
そんな野性味溢れるおかんが切り盛りするパウバウマリ食堂。
饗されるのは異世界の素材で作られる絶品お袋の味。
両方の世界からのお客さんで、食堂は今日も大盛況。
そんなある日、異世界のモンスターにオカンが攫われた!
救出に向かう息子。
そこに立ちはだかるこちらの世界の事情。
おかんは無事なのか?
息子はおかんを助け出せるのか!?
緊迫のバトル。残されたおとんの想い。強い家族の絆。そして、巨大な魔王の脅威。
とにかく、笑いが止まりません。
登場シーンは少ないのに半端ないです――おかんの存在感。
それは非日常さえも日常に変えてしまいます――有無を言わせず(笑)
何と言っても、カウンターで魔王が世間話をしながらランチを食べているのですから。魔王さえも小物に見えてしまう、カリスマ的風格。
さらに「おふくろの味」という言葉が妙に印象に残りました。強いだけじゃなく温かさも兼ね備えています。ここが魅力なのでしょうね。月並な言葉ですが「スゴイ」の一言です。
次なるエピソードを期待せずにいられないのは、ボクだけじゃないはず――きっと作者はやってくれます。まだコンテスト期間は始まったばかりですから時間はありますよね?(おいおい)
パウバルマリ食堂は、異世界とつながった定食屋。異世界で仕入れた食材をつかったモンスター料理を提供する。そしてその店を切り盛りするのが、おかん。
定食屋は、現世界の住人と異世界の住人が常連として訪れる、ボーダレスな空間。
本作の秀逸な設定は、異世界ではモンスターの肉を食べる習慣がない、というかその技術がないこと。そこに目を付けたおかんが、異世界から仕入れたモンスターの肉を調理して提供するため、現世界人も異世界人も、その「ここでしか味わえない料理」を求めてやってくること。
ところが大事件が起こる。なんとおかんがモンスターにさらわれる!
もちろん息子のユウトはおかん救出に動き出すのだが……、有給が……。
とにかく世界観のずれっぷりが素晴らしい。
強烈なキャラクターおかん、ブラック企業に就職してしまった息子のユウト、異世界の戦士エリカ、意識高い系の魔法使いや、居るんだか居ないんだかわからないおとん(笑)。この各人それぞれに、ちょっとズレた役回りを大真面目に演じてくれる。
ハラハラドキドキしつつ、なぜか安心して見守れるストーリー。特にタイムリミットのある魔王討伐の「これ間に合うのか?」は半端ない。そのくせ、タイムリミットの理由もくすくすと笑えてしまう。
とにかく、突っ込みどころが多い。一歩踏み出すごとに爆発する地雷原を歩くように、突っ込みどころがつぎつぎと用意されている。ここは突っ込んだら負けだ。「突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ」と唱えながら読もう。
ティータイムに一気読み出来る手軽さと、充分に読者を惹きつける要素が見事にコラボしたコメディー作品。
作中の要所々々に見られる気の利いた言い回しや独特の感性は、意識高い系読者にとっては堪らない御褒美となるでしょう。
私も意識高い系の一人として魅了されましたので、
今後の展開などを予想してみました。
コミットメントしていますが、ドラッカーの理論的に言うとこれは「おかん編」とアウトバウンドするべきバズ・マーケティング。
将来的には「オーナー(おとん)編」「ビジネスパートナー(恋人)編」「クライアント(お客様)編」等のSSが展開されるクリエイティブなパッケージなのだと確信しています。
文句なしに楽しめる異世界ファンタジー!
主人公は、交通事故をきっかけに異世界転移した経験のあるユウトくんとそのおかん。その経験を生かし、異世界の食材を使って料理を出す定食屋を繁盛させていた逞しいおかんだったが、ある日そんなおかんが突然魔物に連れ去られ——。
おかん救出に乗り出すユウトとその仲間たち。彼らの前に立ちふさがるのは?そしておかんは一体どうなる!?
しっかりと笑わせてくれるギャグ、そしておかん救出に向かうユウト達の手に汗握る戦闘場面。全てのシーンが読み手の心をぐいぐい惹きつけ、ページをめくる手が止まりません。
そして、この作品の大きな特徴は、全体に漂うほのぼのとした親しみやすさや幸福感。がっつりした異世界ファンタジーとは違うホッとする空気も、またたまらなく魅力的です。
誰が読んでも、きっと「面白かった!」と呟かずにはいられない、スカッと心地よい楽しさに溢れた物語です。
異世界ファンタジーに眉をひそめる、そこのあなた。
ええ、いまご自身を指さされていらっしゃるあなたです。
お時間を少し、拝借できませんかしら?
いえ、何もいかがわしい勧誘ではございません。
この物語をご覧になりませんか?
ラブコメ界にこの人あり、の語り部が丹精こめて紡いだ抱腹絶倒の物語なのです。
笑いあり、涙あり(あ、なかったかも)の異世界人情ファンタジーです。よもや、あのおっかさんがこのようなお話で主役を張るだなんて、驚きとともにおおいなる期待を胸に拝読いたしました。
期待通り、いえ、期待以上の物語です。
ぜひご覧になってくださいな。
魔王って、案外このような経緯の持ち主かもしれません。
おかんは、働き者で、異世界とこちらの世界を行き来できるパウバルマリ食堂を切り盛りしています。
食堂には、エリカさん、自宅に帰れば、長く連れ添ったおとんと息子のユウトくんがいます。
時間をこさえて異世界と自宅を行ったり来たりだったのですが。
食堂が荒らされて、おかんがいない。
一体、この急展開は、何だ。
誰も、丈夫なおかんは、元気だけど、さらわれたからには探さないとと、ユウトくんに奮いたって貰おうとします。
所がそこにも壁が。
次々と展開するシーン毎に、バトルにはバトルの魅力、食堂では、ほのぼのしたり美味しそうだったり、メリハリがあります。
おかんのお楽しみな落ちも待っています。
新しいファンタジー。
おすすめです。