師弟の結びつきは、やがて——。恋愛より濃厚に、色褪せることなく。

最初は、自分のライバルのように。
そして、力量の差を知り。
彼の音を教えられ——やがて技術だけでなく、心がその音色を追い始め——。

時を経た今。
自分の中に、恋しい人の音がある。
自分の指先から、愛おしい人が蘇る。

自分の中に、愛する人を生かし続ける——
「私」は、永遠に失うことのない愛を得たのかもしれない。


愛とは、つまり何か。
そんなことを深く考えさせられる、どこまでも濃厚な掌編です。