小説としては荒削りだが、設定は本業作家級。

世界観等はそこそこ珍しいという程度のオリジナリティで、小説として見ると、荒削りで描写不足な部分が非常に目につく作品。
しかし、その設定の奥深さは並外れていて、「異世界に行ったけど言葉が通じない!」という状況を丁寧に描写し、異世界言語を習得していく過程が書かれている。
異世界言語を実際に作ってしまう作者の熱意には感服するしかない。

あとは描写不足な点と、作中で主人公の地の文が不必要に長くテンポが悪い点さえ改善されれば、さらに高い評価になると思う。
現状では、ヒロインの背格好もわからないし、どんな家に住んでいるのか、どんな服なのか、食事はどうなのか。主人公の一人称視点の小説なのに、描写不足のために、読んでいてイメージしにくいことは問題。

言語への作者の熱意は凄まじいが、他の世界観描写へ、その十分の一でも熱意を割いて欲しい。