第6話
夏休み
この響きが大嫌いだ。だって、夏休みにはいい思い出がないから。家に帰っても1人で、ぼーっとしてるしかないから。でも、時々ヤツが来てくれるから楽しかったりする。でも、夏休みらしいことは夏休みに一切しないから、楽しいことないかな?って、思いながら毎日を生きてる。今年の夏も絶対暇だな。でも、今年はやらなきゃいけないことがある。それは、病院に行くこと。病院に行って傷付けた人に謝らきゃ。今年まで行けなかった。行かなきゃ行けないから、ヤツに手伝ってもらいながら、行こうと試みた。でも、怖くなって病院についても、病室に入ることは出来なかった。今年は、絶対病室に入る。そう思って、4月から過去と必死に向き合ってきた。苦しくて、逃げ出したくなることもあった。でも、逃げたままだと進めない気がするから、嫌でも向き合った。大分過去に強くなれたと思う。だから、今年こそはちゃんと謝るのだ。明日、ヤツが来る。その時に、ヤツに頼んで一緒に病院に行くのだ。傷つけた人が、私の声で目覚めたらいいな。そんな願いも込めながら目を閉じる。私は、現実の世界から脱出し、夢の世界に忍び込む。
夢の世界に吸い込まれる前に思ったことは、“過去の私になにか言えたなら”
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