第3話
家には誰もいない。生活感のない大きすぎる家にいつも1人。親は帰ってこないと思う。母親は、仕事で世界中を飛び回っている。父親は、病院にいる。生きてるけど、危ないらしい。父親をこんな状態にさせたのは、私。こんな状況に落としたのは父親だけじゃない。従兄弟の涼太も眠っている。こんなになるなら、あの時行動を変えていたらな。過去のことは私ひとりじゃなんとかなる事じゃなかった。小さい頃かずっと、自分の力だけで何とかしてきたから、誰かに頼ることは頭の中になかった。だから、こんな事をしてしまったんだと思う。あの時は、難しい選択を迫られていた。当時の私には、とてもとても大きすぎる選択だった。周りにどう頼ればいいか分からなかった。すぐ近くに相談できる人がいたというのに、私は気づかなかった。私のせいで、私じゃないふたりが傷つくなんて。傷ついたふたりがすぐに復活しずに、今も眠っている。きっと、生死をさまよっているのだろう。どれだけ大きな罪を犯してしまったのだろう。ふたりが目覚めたら初めに何をしよう。まずは、謝らなくちゃ。私のせいでひどい思いをしたのだから。母親は、こんな私が嫌なのだろう。過去に大きな罪を犯し、学校に馴染まない私が嫌なのだろう。母親は私と比べて、人当たりが良くて、笑顔を絶やさず、愛想良くて、人気者。容姿や頭の良さは一緒なのに、性格だけでこんなに人は変わるのか。今更性格を変えようとしても、変えられない。正直、こんな性格から抜け出したい。でも、抜け出せない。どんだけ残念な子なんだろう。自分が自分で嫌になる。もし、あの時に助言があったら、今の私は変わっていただろうか。1回でもいいから今とは違う私の未来を見てみたい。あぁ、“過去の私に何か言えたなら”
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