アクションとトリック、両方すごい!

SFの出だしとして、世界設定とキャラクター像をしっかり伝える事は重要だと思うのですが、この作品はそれを実現しているだけでなく、冒頭で「これからとてつもない何かが起きようとしている」という期待を持たせてくれます。
シャープでスタイリッシュに戦う、女性エージェントならではの戦闘バリエーションの豊富さ。アクションシーンが終わると会話パートが楽しみになり、それを終えるとまたアクションシーンが楽しみになるような読者を引っ張り続けるメリハリ。次々と襲い掛かって来る敵陣営の、力任せと思われた手口の裏に見える計算された謀略など、枚挙にいとまがない面白味。
紹介文ではなく、台詞や行動で綴られる性格の癖がキャラクターの魅力を最大限に引き出していて、笑顔・涙・怒り・戸惑い・優しさ・哀愁・ジョーク・悪態、登場人物たちが見せる全ての要素に惹かれます。
とにかく読者をあっと驚かせる仕掛けが、最初から最後まで溢れているのも醍醐味のひとつ。
指を一度鳴らすだけでトランプが鳩になる手品を見るような、巧みな伏線と回収に思わず唸ってしまいます!

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