人間の醜いところを完璧に表現しています。暗く重い話なのにいつのまにか吸い込まれて、読み進めていました。二話だけで人が人である所以を思い知らされました。一度犯した罪はどんなに取り繕ったとしても必ず罪人にかえってくる。
人間であるなら、誰もがその内に秘める「中身」。その恐ろしさをこれでもかと見せていただきました。
子供たちが、ある病気で入院している友達のお見舞いに行くのですが、このある病気の設定、そして描写にぞっとします。そしてそこで起こってしまうことの顛末がもう…。 子供である、というところがまた、残酷さを増しているように思います。
前編と後編の2話構成。前編で起こる突然の事故。取り返しはつくのか、つかないのか。つかないのなら、一体どうなってしまうのか。そんな事が気になって仕方ない状態で突入する後編は、1行毎に読者をハラハラさせてくれます。特殊な「病気」に関する斬新な設定と、予測不可の意外な結末が面白いです。