恐ろしい姿だから、その生物は恐ろしい存在なのでしょうか。
仲間を亡くし、孤独になり、人間に恐れられていたドラゴン。
そんなドラゴンが、ドラゴンの言葉がわかる少年と出会うお話です。
人間に恐れられているドラゴンですが、それはただ、見た目が恐ろしいから、どんどん噂に尾ひれがついて、人間に害をなすものだと誤解されているのです。
本当は、人間を食べることはない草食動物で、出会った少年に優しく接することができる、そんな存在なのです。
少年とドラゴンとのやり取りに、心が温かくなりました。
ドラゴンの体にはえた花を植え替えてほしいと少年に頼むドラゴンと、快く承諾する少年にほっこりします。
しかし、彼らの仲は永遠には続くことはなく――
最終話での、植え替えた後の花の描写に、目頭が熱くなりました。
ほっこりと、せつなさが同居した物語です。
読んでみてください。
心優しいドラゴンと、少年の物語。
ここに登場するドラゴンは、その優しさのために引きこもりである。そんなドラゴンを、人間はかく語る。すなわち「火を吐く」し、「巨大」であり、「不死身である」など。そしてドラゴンを倒そうという者を「勇者」と呼ぶ。様々に人間の間で語られるドラゴンの姿は、邪悪であり、悪者であり、怪物である。
しかし、本当のドラゴンは人間の少年に頼んで、体に生えてしまった草花を植え変えてあげるほど、心優しい。それほど巨大ではないし、火も吐かない。つまり、ドラゴンのイメージは、人間の「語り」によって形成され、尾ひれがついた間違いなのだ。
そんな中、少年の村が襲われた。少年に助けを求められたドラゴンは、どうなる? 何しろ、人間が持つイメージとはかけ離れた存在なのだ。果たして、ドラゴンは少年の願いを叶えることが出来るだろうか?
是非、ご一読ください。