「1万時間」の法則



「1万時間」の法則が有名である。


1日10時間で3年。

1日3時間で10年。


現実的には、「1日10時間を3年間」も続けるのは困難であるから、「1日3時間で10年間」がせいぜいだろう。


それだけの期間、一つのジャンルに打ち込めば、そのジャンルのプロフェッショナルになれる、という「俗説」である。



この俗説は、管理人も小説を書き始めてから、ずっと気になっていた。


「このままちんたら書いていたら、あっという間に50代、60代になっちまう」

と、40代の管理人は焦ったりする。




1万時間を原稿用紙に換算する方法もあるらしい。

1万時間=1万枚(400字詰め原稿)と考える、というものだ。


400字詰め1万枚だと、空白を考えれば、実質的に300万文字前後だろうか。

したがって、1万時間=1万枚というのは、ラノベ長編にすれば30作品前後となる。


もっとも300万文字と言っても、1作品を30巻分続けるのと、別々の作品を30本書くのでは意味が違うだろう。

なので、厳しい方で考えてみる。


つまり、ラノベ長編30本。


ここまでやれる人は、おそらく作家志望者の5%もいないだろう。

1%未満かも。


とすれば、確かに1万時間も集中すれば、ひとかどの書き手にはなれるかもしれない。



ちなみに管理人は、長編30本の半分にも達していない。

「真面目にやる気あるんか」とセルフ突っ込みすることがしょっちゅうである。



   *


しかし、よくよく考えてみれば、「1万時間」の法則は眉唾のような気がする。


例えばこの1万時間=1万枚の修羅道をやり抜いて、上位1%の中に入ったとする。

上位1%の人材は、企業内では押しも押されぬエースであろう。


でも、芸能やアスリートの世界では、上位1%の人材では、2軍にすらなれないこともままある。

50m走のタイムが学校一番でも、学年のアイドルでも、学生野球で4番エースでも、プロの世界では「ただの人」かもしれない。


もちろん商業出版の世界も、千人に一人、万人に一人の逸材が活躍する世界なんだろう。




もう一つ、眉唾と思われる理由がある。


前回の投稿でも書いたように、努力の仕方次第で、成果が何倍も変わってくる。

質にこだわりすぎても、量にこだわりすぎても、効率は落ちる。


ところで、成果が2倍速で違う、と言うと大したことがないように見える。

1時間で済む仕事が2時間かかる、というだけのこと。


しかし1万時間で済むところが2万時間かかるとなると、大きな問題だ。

10年で済むところが20年かかる、ということだから。


てことは、「効率的な努力で一万時間」という条件付きなのだろうか。


   *


とまあ、眉唾であるにせよ、1万時間の法則は、目安にはなるかもしれない。


一つ確からしいことは、芸能、アスリート、文芸など、長期間の修練が必要な世界では、努力の仕方が決定的に重要だ、ということである。


40代の自分としては、なるべく最短距離に近い道をたどりたいところである。

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40代だけどラノベ作家になりたい(連載エッセイ) ミカン星人 @mikanseijin

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