癒やし系直球小説

鬱屈も青春のルサンチマンもない、ものすごいストレートな小説。ライトノベルというよりジュブナイルというか。豚骨縮れ麺というより、トコロテンのストレート麺って感じ。

なので疲れた日々を癒やして欲しい方に向いている。大人でも、昔読んだ絵本読んで癒される夜があるじゃん。あんな感じ。

文章がうまく「つるっと読める」のも、その印象を強めるのに役立っている。

異界との交流で家族の絆を取り戻すって背骨は、「異人たちとの夏」を思い起こさせる。あの映画と同様のノスタルジックな空気が漂うのは、必然なのか、著者の戦略なのか。

この筆力でドロドロしたルサンチマンを描いた奴も、個人的には読んでみたいかも。