鬱屈も青春のルサンチマンもない、ものすごいストレートな小説。ライトノベルというよりジュブナイルというか。豚骨縮れ麺というより、トコロテンのストレート麺って感じ。
なので疲れた日々を癒やして欲しい方に向いている。大人でも、昔読んだ絵本読んで癒される夜があるじゃん。あんな感じ。
文章がうまく「つるっと読める」のも、その印象を強めるのに役立っている。
異界との交流で家族の絆を取り戻すって背骨は、「異人たちとの夏」を思い起こさせる。あの映画と同様のノスタルジックな空気が漂うのは、必然なのか、著者の戦略なのか。
この筆力でドロドロしたルサンチマンを描いた奴も、個人的には読んでみたいかも。
何よりもまず、とても、とっても爽やかな読後感。
小学生の課題図書になっていてもおかしくない、気持ちのいい小説でした。
以下、感じたこと。
言い回しに無理がなく、読みやすい。
ストーリーはどこまでも、清々しく、瑞々しい青春物語り。
自分にはこんな真っ直ぐなお話もキャラクターも書けません。
岩井さんがもし私の小説を読んだらと思うと、恥ずかしさで今のうちに逃亡したいくらいです。ああ、ほんと、張り合う気も失せるくらい完敗です。
ツイッターで偶然お友だちにならせていただいた縁で拝読したこの物語り。
出会えてよかったなって、素直に思いました。
今後ともよろしくお願いします。