青春を想起するための不思議な記憶

語り手による、昔に体験した不思議な出来事の話。
なんといっても可愛らしい。それは語り部が一人称であるが故に、主観と客観を織り交ぜた、不思議な雰囲気を演出しているように思える。
途中までの正統な(というと後が正統にないかのようだが、レビュー側の語彙不足としてご容赦頂きたい)流れを断ち切るかのような、乱入者。
それがこれまでの流れを乱すこと無く融合していく様は見事である。
起承転結という言葉に相応しい展開、過不足のない文脈。
不思議な世界観が展開され、そして最後に現実に併合されると思いきや、やはりそれを継続する淀みのなさ。
是非とも作者と世界観を共有したいと思える作品である。