15のセンチ

　私は、やりすぎたのかもしれない。

　いや、かも、ではないのだ。間違いなく、私はやりすぎた。
　良かれと思ってやったことだった。間違いなく、役に立つと、助けになると信じてやったことだった。しかし、だ。私は思春期という、善とも悪とも、友とも敵ともなる極めてどっちつかずな微妙な時期を、完全に見落としていた。
「お、夫婦で登校かよ」
「さすが、お熱いね」
　学校というのは不思議な空間だ。こと中学校という場所に関して言えば、それはそれは、不可思議だった。若さの所為とも、子供だけの閉鎖的な空間の所為でもあるのだろうが、男女一組が一緒であるという事実はたった一時間足らずでも、あっただけで、まるで火のないところに煙を立たせる。突如して跋扈を始めてしまう。
「付き合ってんでしょ？　私だって好きだったのに……続きを読む