その飴は、魔法よりも大切なものが込められている

 雨の降る日、幼馴染と「神様の飴」を探しに行った。
 もう、二人とも大きくなっていて、雨空を見上げても飴が降ってくることはないと分かっているはずなのに。

 無駄のない端正な描写から、雨の日の風景や感触が浮かび上がります。
 そして千紗の「神様の飴を探す」想いや、将行の想いが胸に迫る。
 けれども読後は切ないながらも柔らかな爽やかさが残るのです。

 その飴は、魔法はないかもしれない。しかもあんまり甘くないし、結構刺激もある。
 けれども深い優しさに満ちていて、そっと寄り添い、支えてくれる。

 雨の音を聞きながら、じっくり味わいたい作品です。

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