絵本の中の魔法使いは、僕の大切な人でした。

 これは、優しい魔法使いの御話し。主人公の母は絵本作家。その中でもお気に入りなのは、「いだいな まほうつかい」が登場するシリーズもの。しかしそのシリーズは、ストーリーを追えば追うほど現実味を増していく。そして母から語られた主人公と絵本の「いだいな まほうつかい」との関係。
 主人公は自分にも魔法が使えるのでは? と思い、魔法の練習を始める。しかし、そこに忍び寄る影があった。
 魔法使いと言えば「ファンタジーや異世界もの」だと思った貴方は、すでに一つ間違いを犯している。これは絵本と現実が地続きになって、絵本が現実になっているのだ。単なるファンタジーや異世界に、主人公が入っていくのではなく、世界の方から主人公にやってくる。今までに見たことのない現代ドラマ的魔法使いなのだ。
 そして描き方が独特で、優しい。敵対していたはずの魔法使いも、実は主人公のことを思っていたり、主人公の両親が主人公に対して過保護だったりする。その時間を象徴するのが題名にもなっているコーヒーである。そしてコーヒーを入れるマグカップにも秘密がある。
 あなたもコーヒー片手に、この作品を味わって見てはいかがでしょう?

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