悲しき少年少女たちは、目的のために『サイコガーデン』の扉を開け彷徨う!

登場するキャラクターの多くが多重人格者で異能を操る、独特な設定のファンタジーバトル小説と言いましょうか。

それだけ聞くと何だか軽く聞こえてしまうかもしれませんが、計算された非常にユニークな作品だと思います。

登場人物に潜むサブ・パーソナリティーたちは、小説のタイトルにもなっている『サイコガーデン』を介してコミュニケーションを図ることができるが、そのサイコガーデンに入るためには本人も気付かない条件があったりとか、サブ・パーソナリティーが表出すると本人の言動だけでなく能力にも影響を与えたりとか、とにかく設定が緻密です。

そして、彼らが生まれるきっかけとなった忌まわしい過去も……。

登場人物に見え隠れする闇や、サイコガーデンのおどろおどろしい描写が秀逸で、それが物語全体に仄暗い雰囲気を常に醸し出しています。

とにかく読み進めていくと、ページをめくる手が止まらない。これは作者さまの他の作品にも言えることですが、気付くと読者の『サイコガーデン』はしっかりキャッチされていることでしょう!

その他のおすすめレビュー

銀鏡 怜尚さんの他のおすすめレビュー808