これ本当に私が悪いんですか

おはよー、と声をかけてくるクラスメイトに挨拶を返して教室に上がる。扉を開けると、すぐに大量の視線が突き刺さるのを感じた。何事か、と思い自分の席に向かうと、そこにはすでに人の姿が。


「なんでいるの…。」

「はよ。何か言うことあるだろ。」

「えぇ…?」


何だ。こいつが求めている言葉は何だ?全くわからん。


「…昨日。なんで帰ったんだよ」

「え、」


それ?とは言えなかった。じとりと睨む原田の視線が呆けたような顔をしているであろう私に向けられる。


「帰るならせめて言ってくれ。」

「いや、別に原田私に会いに来てるわけじゃないでしょ?」


昨日思ったことで反論する。


「は?そうだけど」

「ほら、ならやっぱり言う必要…」

「いや、そうじゃなくて。」


お前に会いに行ってるんだけど。


教室が静まり返ったのを感じる。私の心臓も静まり返りそうだ。実際はしっかりと力強く脈打っている。


「えーっと、そうだったんだね。うん、でも私たちただの知り合いじゃん?それに会いに来てるって言ったってそれは原田の立場からの話でしょ?」

「俺はお前の友達じゃなかったん?」

「いや、あの…うん…友達だね…。」

「でも友達には言う必要が無いと?」

「いや、あのー…。」


むすり。唇を尖らせて拗ねている。私が答えあぐねていると、救世主が現れた。


「もー原田、逢坂ちゃん困らせないであげなよー。なんかよく分かんないけど、彼氏でもないのにそんな束縛しちゃダメだって!」

「なら付き合う」

「はぁ?」


私にこの前探りを入れてきたその女子(堀内さん)の発言は、自分の首を絞めるものだった。私は首が絞まるどころの話じゃない。死にかけである。


「俺と逢坂が付き合ってそれで逢坂が遠慮しなくなってくれるんなら、俺はお前と付き合いたい。」

「友情を深めるとかいう選択肢は…?」


堀内さんも死にかけである。


「逢坂、」


もはや何も言えず放心状態の私に原田が向き合う。


「俺お前のこと好きかも」




私と堀内さんは無事に死んだ。

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