今日までの私とあいつ

スライム

彼女は悩んでいる

いきなりこんな事を言うのもおかしいと思うんだけど、それでも言いたい。


「私の彼氏、頭おかしい」

「おうおうどうしたんだよお前」


おしゃれなカフェのテラス席で頭を抱えている女と、ズコーッという音を立てながらストローでレモンティーを飲んでいる女。言わずもがな、頭を抱えているのが私である。そう、頭のおかしい彼氏について悩んでいる私である。


「お前の彼氏、やばぁーいちょぉイケメェーンってよく騒がれてるじゃん」

「そう!!そうなの!!!あいつ本当に、外面だけはいいから…!いや顔もなんだけど」

「は?惚気けてんの?帰るぞ」

「お願いだから最後まで聞いてよ…」


少しばかり冷たくなってきた友人の態度に、慌てて本題に入ろうとする。見れば、もう空のレモンティーを飲み続けるのは飽きたようで、私の相談が長丁場になると踏んだのか、ケーキメニューを眺めている。いいよ、頼みなよ…あっでもやっぱり頼まないでここのお会計払うの私だから。


「すいませーん」

「祈りは届かなかった…」


まぁでも、本当に長くなると思うのでギリギリ目を瞑ろう。彼女とは中学からの仲だ。たかがケーキ一つくらいで壊れる仲ではない。はず。多分。


「ほら、さっさと話せよ。どうせ大したことじゃないんだろうけど」

「うーん…どこからがいいかな。あー、でもまずは出会いからにしよう。」



遡ること、何年になるのか。まずはそこを思い出すところから始めよう。

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