幻の翼が夏の空を駆ける。矢のごとく勇壮に。熱く強く儚く。

1945年。
8月中旬を迎え、戦況の絶望を海軍の士卒さえも実感するなかで、
菅野直大尉は新たに開発が完了した戦闘機・烈風で飛び立った。

史実では戦場を舞うことのなかった烈風がもしも飛んでいたら。
その歴史のifもまた、大局の前ではささやかなものかもしれない。

けれども確かに胸を熱くする、飛行機乗りと仲間と愛機のロマン。
短編だからこその潔い読み口が、心地よいかなしさを連れてくる。

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