第5話疑問


「ここは…?」

目を覚ますと見慣れた大草原にいた。

「俺は確か助けられて…」

自分が気を失った事に気付く、

俺は寝そべったまま頭の中で出来事を振り返ってる。



「ねぇ…大丈夫?」

「えっ…⁉︎」

誰かの声がしてそちらを振り返って見るとあの女の子が立っていた。

白い髪が綺麗に風になびいている。

俺はまた会う事が出来ると思っていなくてパニックになっていると、

「君が体験した事は全て…本物…。

もし…君が望むなら、近いうちにまた会えるよ…。」

一瞬強い風が吹き、俺は目をつぶってしまう、

目を開けた時には女の子はいなく、代わりに誰かに呼ばれる声が聞こえてきた。



「…ん!…迅!!ご飯できたわよー!」

再び目を覚ますと母さんが呼んでるのが聞こえる。

上には見慣れた自室の天井。

「…また夢か…。」

俺は少しうなだれながら起き上がると、机に置いてある一枚の手紙と丸い球体の機械に気付く。

「なんだこれ…?」

俺は一回手に取ったが、すぐに置きなおし、晩飯を食べに居間に向かう。


晩飯を食べながら帰宅途中の事と夢の中で会った少女の言葉を思い出す。

大きな鎌を持った得体の知れない人影、助けてくれた男と女、そして夢の中で会った女の子が言った言葉。

「君が望むなら…。」

そのセリフが一番引っかかっている。

望まなければどうなる?逆に望んだら…?

答えのない自問自答を繰り返す。


「迅…。顔色悪いけど大丈夫?」

前に座っている母さんが心配して聞いてきた。

「心配かけてごめんね母さん。大丈夫だよ!」

俺はそう母さんに伝え、食べ終えた食器を片し、自室に戻る。

シングルマザーで俺を育てて来た母さん、あまり心配事はさせたくない。

自室に戻り机の手紙と球体に目をやる。

「この中に俺の求めてる答えがあるのかな…」

俺は恐る恐る手紙の方から読み始めた。


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