カスタムロボかなとは思ってましたが思った以上にカスタムロボでした。ではそれが悪いのかというと、カスタムロボ世代的には「これやったわ!!!!」と思わず興奮してしまう設定や装備ですし、知らない世代からしてもパーツや機体についての細かな設定が簡潔にまとめられた上で提示されるので非常に良いものだと思います。
それはさておき。
私はロボ好きなのでこうしていきなりロボの話から始めましたが、この作品の一番良いところは、ストーリーラインが美しいところだと思います。子供達の一夏の思い出、成長と変化、それが主人公の少年にも、少女にも、そして今回は悪役となった“彼”の下にさえ訪れる。
そういう子供達が美しい思い出とともに前に進んでいく、未来へと踏み出していく未来と絆の物語であるということが、この作品の本当の魅力です。
しばしあの頃の気持に帰って、読んでみては如何でしょうか?
全長15センチメートルの小型ロボットを戦わせる子供に人気のホビー「チューンナップロボット」。略して「チューロボ」。
ロボットは男のロマンだ! しかし男子小学生の大吾は、チューロボのバトルで女の子に負けてしまった。夏休みで都会から訪れたその女の子・莉亜は、チューロボの大会常連者だった。
地元では負け無しだった大吾は、莉亜に勝つためにチューロボに打ち込んでいく。負けん気の強い少年の意地が胸を熱く燃えたぎらせる。
カスタマイズごとに戦術が変化し、駆け引きが生まれるバトルは、たかが玩具と侮れない。そこには遊びでも、譲れない戦いがある。真剣勝負に男も女もない。ほとばしる純粋な情熱にあてられる。
ひと夏の思い出を分かち合った二人は、この後どうなるのか。また好敵手として、どこかの大会で再戦するのか。それとも次はパートナーとして力を合わせて、さらに大きな舞台へ挑むのか。二人のこれからに夢がふくらむ。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=愛咲優詩)
夏休み、夢中になれる時間を仲の良い友達と共有する。
きっと多くの人が経験する、振り返ったときに楽しかったと懐かしくもワクワクした輝く時間。
時は近未来でしょうか。
『チューンナップロボット』なる、自身で好きにカスタマイズできる手のひらサイズの人工知能搭載ロボを、我が子のように可愛がる主人公。勿論その愛ゆえ、チューンナップロボットを使ったバトル『チューバト』では負けなしです。
しかしそれが、都会から現れた一人の洗練された女の子によって覆され……
一夏の、チューバトによってもたらされる爽やかな熱闘。
バトルシーンは、本当に間近で二人の激闘を見ているかのようにリアルで、私も手に汗握りながら応援してしまいました。
全長15センチメートルの小型ロボット「チューンナップロボット」!
私はロボマニアではないのですが、このロボには「おお!」と思いました。
自分好みにカスタマイズできて、手入れしてあげればあげるほど、それに応えて強くなってくれる相棒! ワクワクします。
この作品の主人公は小学生の男の子。チューロボに夢中になる気持ち、分かります。
何しろ、ロボは彼の相棒であり、手塩にかけた大事な「息子」なのです。
けれど、自慢のロボが負けてしまう。しかも、相手は同年代の女の子!
彼の気持ちがストレートに伝わってくるだけに、リベンジ頑張れ! と応援したくなります。
彼の純粋さが、大人になると忘れがちな「何か」を刺激してくれます。
キラキラしたあの時代を思い出させてくれる、そんな素敵な作品です。
青春SF小説……
というか、近未来ホビー小説というべきでしょうか?
架空のホビーロボットを対戦させて遊ぶ、ひと夏のジュヴナイルといった趣きがある作品です。
短編小説とは思えないほど細部までこだわったホビーロボットの設定が強烈ですね。
全体的な印象は、他のレビュアーの皆さんと概ね同感なのですが、個人的には作中で主人公がバトルの対策を練るシーンにおいて、「相手に合わせて装備を変更した方が有利なのはわかってる。でも、今までどおりに戦いたい。そちらの方がカッコイイからだ」というようなことを考えている箇所に、ちょっとした対戦ホビーのリアリティを感じます。
この小説の世界でも、やっぱり「何が有利かは二の次、基本的には自分が好きな戦術を貫く」というユーザー(いわばエンジョイ勢)とガチ勢とのあいだでは、強い確執があったりするのかなあ……
なんて、色々と想像力を刺激されてしまいました(笑)。
田舎の夏休み、都会から来た少女、そしてロボット。
その手の要素が目一杯詰まった童心溢れる短編です。
本作最大の特徴はロボット玩具「チューロボ」。
小型の人型ロボットとARを組み合わせ、街や自宅を舞台にロボット達が熱いバトルを演じるのです。
このバトル描写、微に入り細を穿って描写され、読者は手に汗握らずにはいられません。
カスタムロボがわかる方なら緊張感はなおさらでしょう。
そしてチューロボに熱中する少年は少女と出会い、彼女を倒すために奮戦するのでした。
物語はプロローグで終わりを告げますが、長編になっても読んでみたいと思いました。
「15cm」というテーマもぴったりはまった良作短編です。
童心にかえりたい時に是非!
物語が始まったばかりという感じですね。
小型のロボットバトルは、古くはプラレス三四郎、プラモ狂四郎から、エンジェリックレイヤー、ビルドファイターズなど色々あるわけですが、自作ロボットとARグラスを組み合わせると、なんかもうちょっとで実現できてしまうような世界の気がしてきます。
同時に、そういうイメージが読者の間で既に共有できてしまっているということが、すごいなあと思います。
バトルシーンはカスタムロボシリーズのイメージでしょうか。
本当にもうすぐ実現しそうな気になってきました。
ここまでの部分を起点に物語が始まりそうな予感がします。
もし続くようなら期待しています。