モコモコとした手触りの奥に体温を感じる。

「地に足をつけて生きる」という言葉がある。
少し調べてみればそれは、浮足立たずにしっかり着実に進む、だとかそんな感じで書かれている。

私事になるが、私は二十もそこそこ過ぎた辺りまで、この意味が理解っていなかった。いや、わかっていると錯覚していた。

今過去を振り返ってみれば、私は、なんとも頼りないフワフワとした道を危なっかしく渡っていたのだなあ、と感じてしまう。当時はそれと気づかなかったけれど。まるで羊毛を厚く敷いたモコモコ道だった訳だ。

それは心の居場所だ。ストンと嵌まる己の真実の居場所。

この作品の「ぎゅうちゃん」という男は不安を抱えながらそれを求めている。彼だけじゃない。読者である皆も同じ不安がどこかしらにあるんじゃないだろうか。

この作品を読んで、今一度己に問いかけてみれば、なにか違った感覚を味わえるのではないか。

そう感じました。偉そうにすいません。

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