ぎゅうちゃんに癒されたい

人気者の教師、ぎゅうちゃん。
ぎゅうちゃんが、女子校で生徒たちを見守る様子から静かに物語は始まります。
だけど、生徒をのほほんと見守るばかりではなく、学校の様々な光景が見られるという味付けが施されています。

『びっくりするようなイベントは起こりません。』
あらすじにはそう書いてあります。
確かに、爆弾が爆発するような、一瞬でなにもかもが一変する劇的な展開はないようです。
ですがこの文面から無味の物語を想像してしまったとしたら、それは誤解です。
びっくりさせる気がないだけで、なにも起こらないわけじゃありません。
時間が流れれば、それと同じだけ進む物語と日常。
そして主人公の「ぎゅうちゃん」というあだ名を始めとする、女子校や生物室という舞台から芽を出す言葉たち。
それらがまるで柔らかな水流のように読者をくすぐります。
その水流に体をほぐしてもらうイメージで、ゆったりと読んで楽しめる作品です。