物語のリアルに圧倒された

「誰かに校閲・しっかりとした感想をもらいたい人向けコンテスト」の辛口レビュでございます。

 本作は大正~昭和初期くらいの小説の雰囲気を感じます。
 有り体に言えば古い。
 古いながらも読ませる小説というものがあり、それが本作でした。

 ただ残念なのはその雰囲気が、物語の構成で死んでしまっていることです。
 1話目の頭からつま先まで、文章の裏に流れる感情が見えてきませんでした。
 もちろん文章に感情はあります。ただ、それが見えてこない。

 状態の描写、理屈の描写。この比重が大きすぎるだと思われます。

 大正・昭和初期の小説にはこういうものはたくさんあります。
 ただいまは平成ですので、人をもう少し見たかったなと。

 最初から最後まで10の比率で書くのではなく、大切なところを6~10、そうでないところを1~5にするなどの工夫があると、さらに読みやすいでしょう。
 感情、描写、それらを併せた文章量、読者の目などを意識すると改善されると思われます。

 面白いお話ですし、俗や醜さ、汚らわしさが描かれていて、ぐっと来ました。本作には、すごく良いものがあります。
 特にnatumi-satoruさんの語りの部分は、胸に刺さる思いがしました。

 その良さを、是非自分からプロデュースしてもらいたいです。

 辛口レビュをしておきながらなんですが、ありがとうございました。