死出の旅路に赴く魂たちの出逢いと冒険

月光幻想。シンプルですが壮麗な題名に惹かれて読み始めました。
意味もきちんと通っており、読み進めるほどにテーマと合致しています。

かつて獣だった者と、魔力をなくしたエルフの娘。
そして、最愛の巫女を犠牲にした罪を背負った1人の剣士。
そんな3人の死した魂たちは、贖罪と懺悔に駆られながら、死後の世界にある「永の都」を目指します。

久美沙織を思わせる耽美な世界観と、RPGのような戦闘と探検。例えるなら小説版ドラゴンクエストでしょうか。

長さもちょうど良い中編サイズで収まっており、間延びせず、詰め込みすぎず、大変読みやすかったです。エピソードの取捨選択が秀逸。

擬音を多用したシーンも散見されましたが、これも恐らくは小説版ドラクエや古き良きラノベを参考にしたがゆえでしょう。
そこは人を選ぶかも知れません。

生前の罪に苦しみもがきながらも辿り着いた永の都で、彼らは何を見、何を得たのか。
途中であっと驚く設定のどんでん返しも用意してあり、飽きることなく爽やかに読了しました。