責任から逃げないでねっ、勇者さま!

 古き良きRPGを追体験した思いだ。
 まさにライトな感覚で読める、あの頃ワクワクさせられたファンタジー小説と同じ匂いだ。

 運命・使命・宿命、そんな無駄に壮大な世界の中心でもなく、或いは世情とは関係なく世界の片隅で日常を送るでもなく。

 それでいて、ちゃんと魔王がいて、勇者がいて。御一行――パーティがいて、目の前にクエストがある。

 主題に据えられたレアモンスター討伐の方法が、何ともニヤける設定なのは、さすがである。
 もうこれだけで、ドタバタ・ラブ・コメディとして成立しうるものの、散りばめられたセンスあるファンタジー用語や練り込まれた世界設定を目にするにつれ、そのクオリティに満足する。

 そして、キャラクターの追体験でもある。

 古の詩人ダリルの物語を紐解くことによって、勇者も魔法使いも、夢や理想、そして努力の果ての後悔を己自身で向き合い、成長していく。
 その微笑ましい様子も、クエスト達成と共にカタルシスを与えてくれるのだ。

 勇者御一行は、次なるクエストへ!
 勇者よ、責任においても勇者であれ!

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