私と彼女とネコと仕事と

@tokucha

第1話

物心ついた時には自分の恋愛対象が同性だと気がついていた。それが人とは違うってことも、自然と知っていた。

初恋は小学3年くらいかな。

中学、高校のときも友達に恋をした。 告白なんてできる訳ない。恋人になんてなれる訳ない。

秘めた思いは誰にも伝えることはできなかった。


パートナーこそ居ないが、周りの人たちに恵まれ、家に帰れば自分の居場所があって、帰りを待っている愛猫もいる…自分の生活にある程度満足していた。




短大を卒業して今の会社へ入社してから5年目。

後輩への指導も様になってきた。





やば。頭痛い。

休憩をとろうと喫煙室へ向かう。何気なく携帯を見ると同期の陽子からメールが届いていた。


喫煙室には先客がいた。

人の顔を覚えるのは得意じゃない。確か営業課の人だったよな。美人だなぁ。まじまじと見すぎたせいか、微笑んで話しかけてきた。

「市川さんだよね~?総務課の」

「はい。」

「あ~覚えてないかな?前に書類作ってもらったことあるんだ」


書類なんて毎日いろんな課の作ってるし。

にしてもこんな美人忘れるなんて。


「…あぁ!もしかして浅川さん!?てゆーか私のことなんてよく覚えてますね~!」


思い出した!営業課の浅川さんだ。確か4期先輩の。


「思い出してくれて良かった!」

今にもこぼれ落ちそうな笑顔を向ける。


「私人の顔覚えるの苦手で、すみません。」

「全然。私は顔覚えるのが仕事みたいなもんだしね。またね」


そういうと浅川さんは喫煙室をあとにした。

陽子からメールきてたのを思い出して携帯を開く。


From:よーこ

はよー今週の水曜日合コン開催します!

8時から空けといてね



合コンかよ!めんどくさー…。

数える程しか参加したことがない。どれも人数合わせや付き合いで。

でも陽子が合コンなんて珍しいなー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る