第13話

ガチャ


はぁ疲れた。

ただいまと、カリンの頭を撫でる。



時計を見ると7時前。もうすぐ亮司がくるか。軽く部屋を片付けると煙草に火を点けた。


ピンポーン。


くわえ煙草で玄関へ出る。

「うぃっす~。はいよ、差し入れ。」

「ありがと。どーぞどーぞ」



亮司から受け取ったコンビニ袋には缶ビールやおつまみがどっさり入っていた。


「いつこっちに来たの?」

「ん。おととい」



亮司は高校時代に片思いをしていた山名莉子の弟で、莉子の家に行っては一緒に遊んだ。確か莉子とは年子だから1歳年下。

身長は180㌢位、男っぽいガッチリした体つきで不精ヒゲがトレードマーク。


なにがきっかけだったかははっきり覚えてないが、ある時から急に仲良くなって莉子抜きでも二人で会うようになった。

いかにも女遊びしてそうな外見だが浮いた話しは聞いたことがない、一度も。


「いつあっちに戻るの?」

「戻る予定ないんだーまたこっちで職さがすよ」

「そうなんだ、なんで?やっぱきつかった?」


私は冗談半分でからかうように言った。


「ん。そんなとこ」

亮司は思ったよりも大人びた表情をみせた。

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