第8話

ガタンッ!

トイレのドアが開いた。私はビクッとしただけでその場に座り込んだままだった。


「菜月ちゃん!どうしたの?」

そう言って私の傍に寄ってきたのは浅川さんだった。

鞄からハンカチを出して私の顔を拭いている。私の顔は気がつかない内に涙でいっぱいになっていた。


「今日はもう帰ろ?私が送ってくから」

そんな浅川さんの顔をみると余計に涙があふれてきた。


浅川さんは陽子たちに私と帰ると伝えるとタクシーをよんだ。

気がつくと浅川さんが私の腕を掴んで

「着いたよ。おりてー」

着いた場所は浅川さんのマンションだった。



そこで初めて我に帰った。


「いや私帰りますよ!もう大丈夫ですから!」

「何をいまさら…さっき私の家泊まってけば?って言ったら、はいって言ってたじゃない」


覚えてねーよ!!!!!




家の中にお邪魔すると、綺麗に片付けられていた。間取りは1LDKで、部屋に入るとすぐに大きなベッドが目についた。浅川さんと彼氏のことが頭に浮かんできてまた気持ち悪くなった。本当最低だよ私。

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