流麗な筆致で描かれる救世後日談。

神話の時代は過ぎ去り、戦乱もまた過去のものとなったファンタジー世界を、勇者の遥か子孫の視線から描く意欲作です。
最早、誰もが勇者の伝説など語らず、その逸話すら忘れ去られた今世にて、未だ祖先たる勇者の栄光に縋りつく父母と、それに辟易としている主人公。
どこか大正を思わせる雰囲気の異世界は、そこはかとなく斜陽の雰囲気を漂わせ、最早勇者の末裔としての品格を失した両親に、
主人公は嫌気が差しながらも、学生たるその身の上はただ現実から遠ざかるように今をひた走るのみ。
一風変わったファンタジーを御所望の方は、是非一度、本作を手に取ってみてはいかがでしょうか?