厳格な規律で縛られた国で、それでも自分らしく生きる


厳しい王政が敷かれ、女性は貴族に嫁ぐか修道女になるしか道がない国。そこで孤児たちを養う修道女のナジェンダのもとに、奔放な女の旅芸人、シューシャが訪れる。
最初は国の規律に外れたシューシャを追い返そうとしたナジェンダだったが、毎晩子供達のために琴を奏でる彼女と、親交を深めてゆく。

とある国の女性たちを描いた、お伽話のような短編小説。構成がすっきりとまとめられて、文章も読みやすいと感じました。

快活で自分らしく生きていた旅芸人のシューシャですが、それ故に悲劇的な結末を迎えてしまいます。詳細は省きますが、彼女の訪れた国では、そうすることは許されないから。
結末は辛いものですが、修道女として生きてきたナジェンダが、シューシャと友情のために身を挺し、初めて自分の意志を貫いた姿に胸を打たれました。