遠浅に溺れて

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（1694文字）

　シンプルな文章で、淡々と語られる不倫のお話。
　短いお話の中に、登場人物の「結婚相手に求めるもの」や「不倫をする理由」などが上手く書かれていて、人間の「愛」について興味がある方なら面白く読める内容ではないかなと思います。

　不倫は、良くないことです。社会のなかでは受け入れられないものですから、それをした人たちは人としての人格を疑われたり、性格などを否定されたりすることもあるでしょう。しかしその一方で、どこかでそれを許している人がいるのも人間の世界なのかなと思います。

「人を愛する」という感情は不思議なものです。永遠に愛し続けられる人もいれば、それが出来ない人もいる。それは相手がいけない…続きを読む

切ない雰囲気と静かな文章に惹きこまれます。不倫という難しい題材ですが、人間の性のようなものを見た気がしました。毛色が少しちがう、そんなストーリーでした。

不倫中の男女を描いた物語。夫、妻、不倫相手、登場するすべての男女が歪んでいる。
冬の空気のように冷たく乾いた雰囲気がたまらなく素敵でした。

不倫の果てにひとつの決断を下した主人公。その決断は退廃的で先が見えないのに、彼を愚かと笑うことも見下すこともできないのは何故でしょうか。
このリアルで遣る瀬無い恋愛観を説明することは難しいので、ぜひ読んでみて味わっていただきたいです。

破滅にしか向かわない関係にある男女が求める恋物語です。

先がわかっていても、止まらない関係。感情を抑えきれない。

この歳になって初めて共感してしまいました、初めてでないからこそ、刺激を求める本能からくる感情。

こちらの話も続きが読みたくなる話でした、次の物語にも期待して星三つ送らせて頂きます。

結婚していようが、していまいがその人は何にも変わらないのに。
古枝さんはどうして不倫にこだわるのか。とても続きが気になります。