雨上がりの夜空に

　超アイドルの女の子の春から梅雨の終わりまでの心の成長物語。
　飛ぶ鳥落とす売れっ子アイドル「伊藤まり」は浅草生まれ、浅草育ち。浅草六区居を構える寄席「安馬亭」の十四代目（住まいも、もちろん花やしき内）としてこの世に生を受けた生粋のエンターティナー、三社の祭りじゃ名の知れた下町の太陽と呼ばれる女の子だった。
曲がった事が大嫌い、思った事はズケズケ言うキャラクターは、浅草町内会＝フランス座から木馬座、欽ちゃん劇場までの強力バックアップのもと、あっと言う間に業界を席巻、トップ・アイドルに登り詰める。目先の悩みは高校をやめるべきか続けるべきかの選択。
　そんなアイドルにある日、映画初主演の話が舞い込んだ。タイトル、クロス・トゥ・ユー。初顔合わせのオールスタッフ、感じる視線は嫌なカンジ。いつもチヤホ…続きを読む