ざっくりカテゴライズすると、あやかし日常系ファンタジーでしょうか。
何気なく毎日を過ごす主人公の女の子が、ひょんな出来事からあやかし(妖怪)の類と接触し、身近な友人と共に事件に巻き込まれる……
といった筋立てです。
正義の鉄拳制裁を得意とするパワフルな女子高生ヒロイン・ミコトをはじめ、登場キャラクターは皆個性的で綺麗に特徴が書き分けられています。
日常シーンがとても丁寧に描写されているのも印象的でした。
ストーリー展開は王道的で変な癖がなく、伏線もきっちりと回収されるので、読了時にモヤモヤするような心配はありません。
「女の子が主人公+あやかし+日常物」ということで、女性が読んでも楽しめる作品ではないかと!
個人的にはミコトが一番好きなキャラクターでした。
正義の鉄拳とはまさにこのこと。悪を憎み、正義を全うせんとするその姿勢には男顔負け。まあ、ちょっとやりすぎてしまっているような気もしなくはないですが。それも極めれば最強最高。立ちはだかる不良をポイ捨て、いじめっ子を成敗する。自ら傷つくことを恐れずに真っ向勝負。一対多数でも関係なし。並み居る相手をなぎ倒す。
その姿はまさに主人公!
しかし、狂犬もやはり少女。時には甘酸っぱい面も見せてくれます。
クズの悟ったような優しさも物語に色を添えてくれますし、ミコトを取り囲む友人たちも朗らかで安心して見ていられます。
もし私が贅沢を言えるのであれば、もっと他の妖怪と対決するところも見たかった!
クズとの絡みも私的には好きなとこでした。
クズかわいい! クズいいね! クズもふもふ!
え? さっきから言う『クズ』って何のことかって? 読めばわかりますよ。
正義感を人一倍持っているモノのすぐに手が出る少女は、ある日行き過ぎた暴力を見とどめられ、キツネに憑りつかれる。彼女はキツネに言われるまま怪異退治を行うが……一方で彼女の幼馴染が母を亡くした悲しみから長期間立ち直れておらず、元気がない様子だ。しかしそれにはとある事由もあって――
主人公の少女の暴虐さが前面にあり好き嫌いはあると思いますが、一方で親友の少女に弱みを握られていたり、恋を知らなかったり、その暴虐さにも理由があったりと様々な魅力があります。また彼女が現在の性格になった内面の描写もきちんと書かれており、一章一章が長い小説ですが、スルスルと読め、頭の中に入っていきました。
何より彼女を取り巻く登場人物がそれぞれに違ったキャラの濃さを携えており、物語を彩っています。
面白かったです。
最初は最強な女の子がワルガキたちを懲らしめる、痛快学園ストーリーといった趣でした。しかし、主人公の身に変化が訪れ、それを機に学園妖怪退治ストーリーへと大きく変化していきます。
仲間たちも個性的で、感情が豊かで、大いに笑ってしまいました。
文章もとても読みやすく、妖怪の知識も満載で、作者の博識ぶりがうかがえます。
そして小生が一番笑ってしまったのは、何故か主人公のお父さんのくだりでした。最後には感動しましたが、守護霊になってまで近所のお稲荷様に頼るって(笑)。
本当に面白かったです。少し一話一話が長いですが、読む価値は十分にあります。どうぞご一読を!
ヒロインは小柄ながら(偏った)正義感が強く、曲がったことが大嫌い。
不良や不正をその脚で成敗していくうちに、狂犬の二つ名でよばれることに。
ひょんなことから狐の妖怪に憑りつかれて、一〇八のあやかしを祓うまでは、狐が常に心の中で語り続けるハメに――――
あやかし主体のバトルもの、と見せかけて、ヒロインの周囲を取り巻く人間関係を丁寧に描いています。
クラスメイトが意気消沈しているのを見て彼女がとった行動とは。
きつね妖怪葛葉とのやり取りや、おじいさんからの妖怪の解説も丁寧。
日常系、和ものファンタジーをどうぞ。
(これ読んだら、バナナオーレ飲みたくなってきたな……(-_-).。o○0〇