「死んだ奴は、精々、たまに思い出してやるくらいがちょうどいい」この言葉に、この物語が抱える情緒があらわれている。主人公の二人を含め、どの登場人物も人間味にあふれた欠陥をかかえているし、彼らが巡り合う怪談も、どれもすんなりと小綺麗に終わらせてはくれない。どこかひっかかりを残した薄暗がりの道を、こっそり振り返りつつ歩む、そんな夕暮れの美しさに満ちている。
生きています
古き良き時代を舞台に、主人公の男二人の惚けた雰囲気と血生臭く怖ろしいホラーの絶妙な取り合わせが最高です。関と大久保のやりとりが可笑しくて、怖ろしい場面との緩急のリズムが絶妙の巧さです。ハードカバ…続きを読む
帝都東京という舞台を思い浮かべる時、そこは黄昏の橙色に染まっています。私以外にも、そういう人は少なからずいるはず。程なく訪れる大日本帝国の終焉を予期しているからでしょうか。この物語に現れる怪異は、…続きを読む
美しくもどこかおどろおどろしい昭和ホラーの空気感がリアルに再現された世界観が見事です。同じ昭和戦前期の作品を書いている者として、勉強になります。今後の展開に期待しております。
内面に情報としてではなく情緒として踏み込む事が、俯瞰よりは主観達を棍棒として振り回す事が、ホラーとしてどう評価されるのか分からないけど、こういうアプローチがあってもいいんだなと。貴方もきっと納得しま…続きを読む
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