怪談として振り切らない隙間を不器用な人情が埋めてくれる。タナトスの誘惑に引きずられつつも、何とかして戻ってこなくちゃならない、そんな世話物。
昭和初期の空気を切り取った怪異譚たち。彼らは相応に不気味でありながら、どこか切ない佇まいです。怪異の解決に乗り出すダメ男コンビ+αがこれまた、実に宜しい。繊細ながら図太くもある大久保は、理想…続きを読む
百物語にはひとつ足りない、「怪談」と呼ぶには色合いが淡い。此岸に留まる死者たちの情念は少し怖くて物悲しく、儚く弱い。昭和初期の帝都を舞台に、酒飲みで怖がりの三文文士の大久保は、学生時代からの…続きを読む
子供の頃から妖怪ものの話や古いミステリが好きで、よく読んでいました。 本作はそのテイストが大好きな方が、惜しげもなくそのエッセンスを出して書いているのが肌で感じられます。 酒、それは古くからカ…続きを読む
古き良き日本への郷愁もあれば、現代と地続きの近代の価値観に前近代の蛮性を併せ持った不思議な時代、それが昭和初期だと思っています。 狂言回したる仕掛け人の外道記者「関信二」と怖がり役のアル中「大久…続きを読む
もっと見る