まず、序盤の迫力ある描写に圧倒され、そのまま一気に作品の魅力と熱量に飲み込まれていきます。
幾層にも重なる設定や物語がありながらも、それらが太い一本の糸の様に綺麗に縒り合されているので、読んでいる間中迷いや混乱は一切なく、すっと作品世界の中に入り込めます。
主人公の清志郎と歌姫のシオン、二人の背景と出会いを軸に、時を超えて運命が動き、歴史を変える。硬派で重厚なテーマなのに、時折挟まれるエピソードにくすりと笑ったり、どきどきしたり。
この作品の内容に関する素晴らしさにつきましては、他の方のレビューの様に表現する術を、残念ながら私は持っていません。
ですが、一度読み始めたら、この作品の魅力に取りつかれる事、そして最後まで読み終えた後に深い感動と満足感が得られ、いつまでも心に残る事だけは断言出来ます。
この作品の素晴らしさを、是非多くの方と共有したい。そう願っております。
特別消防部隊『カズワリー・フライト』を率いる渡 清志郎。ある火災現場で常識では考えられない惨事に巻き込まれることから、この物語は幕を開ける……
リアリティ溢れる筆致、魅力いっぱいの登場人物によって描かれる現代ファンタジードラマです。
なんといっても一番の読みどころは、“ 戦い ” です。単なる善悪の戦いだけではなく、喪失感、憤り、信頼、勇気、博愛などの感情が螺旋を描くように読み手の心を揺さぶります。回を追うごとに、この物語にのめり込んでいきます。読み手の喜怒哀楽、すべての感情を総動員させる特級のエンターテイメント小説、と申し上げても決して過言ではないでしょう。
ヒロインであるシオン。彼女の崇高なる想いに胸を高ぶらせ、共にこの物語にどっぷりと浸ってみてください。
消防という、どちらかと言えばあまり華々しく取り上げられることの少ない分野。警察や自衛隊に比べると、一歩後ろで控えている感がある組織に焦点を当て、それに神話や時代物を丁寧に織り交ぜることによって誕生した今作。読み手を選ばない、最高傑作であると確信いたします。
エピローグ、これは楽しみにしてください。最後の最後で、きっちりと締めくくってくれております。
細部まで手が行き届き、見事に構成され、臨場感にも溢れ、キャラクターも生き生きとした、魅力たっぷりの作品です。
何より素晴らしいのが、設定、描写、そして構成が、細部まで行き届いていること。
物語に一つの大きな柱はあるものの、それを取り巻く人々がそれぞれに持つ背景までしっかりと作り込まれています。
様々なキャラクター(特に主要キャラクター3人)の持つ視点を織り交ぜつつ柱となる物語が展開されますが、それぞれの行動、選択にきちんと伏線が敷かれていてブレがないのです。
これはたいへん素晴らしいことだと思います。
また、舞台設定も見事で、現代では特別消防部隊『カズワリー・フライト』についてや消防についての知識、建物の内部など、本当に細かなところまでしっかりと描かれていますし、過去の時代考証もよくなされています。
火災現場を題材にした消防士のお話であり、幽霊が登場し、伝記の要素もあり、時代物の要素もあり、アクションスペクタクルさながらのシーンもあり、タイムトラベルがあり...これだけ複雑な小説世界を無理なく構成しているというのも驚きです。
あまりに自然に展開されるので、ぼんやり読んでいると非常にややこしい構造であることを忘れてしまいます。
さらに、臨場感もハンパではありません。
特に、序盤の火災のシーンは圧巻で、それだけでがっちりと読者をつかむ力を持っています。
キャラクターも可愛らしく、健気に、そして生き生きと描かれていて、誰もに好感を持てます。
ここまで隙のない作品は少ないと思います。
読めて楽しかったですし、勉強にもなりました。
文字数ほどの長さは全く感じませんので、皆さんにおすすめしたい作品です。
第52話まで読んでの感想です。あとはエピローグを残すところだと思いますが、レビューを。
特別消防部隊員である主人公「清志郎」、ある日彼は特殊な火災に出くわすことになります。ここで描かれる火災現場の迫力があまりに圧倒的、まるで本職が書いたような緻密な設定・知識によりその現場のリアリティーが増しています。まるで災害映画を見るような、生々しい現場の中、そこにスルリとファンタジーという異物が紛れ込みます。
そしてここからが作者の真骨頂。不思議な物語がゆっくりと流れ始めます。登場するのは江戸時代に活躍した歌姫「シオン」彼女は守り神のような存在で、やがて引き合うように二人は出会うことになります。
引き合うように交錯する二人の運命、結ばれる友情、悲しい過去、やがて明らかになる強大な敵、その敵を打ち破る唯一の方法……と物語は時にコメディたっぷりに、そして情感たっぷりに、二人の想いをどんどんと積み上げていきます。そして訪れる手に汗握るクライマックス。
文章の読みやすさ、会話文のテンポの良さ、とにかく気持ちが盛り上がっていく盛り上げ方と構成、どれをとっても一級品のエンターテイメント小説です。そして最後に訪れる幸せな気持ちになるエンディング。
ぜひぜひ読んでいただきたい一作です!
最新話(第47話)まで読んだレビューです。
いやもう、圧倒的な迫力とスケールの熱い大作です。
この熱さ、もちろん火事現場が舞台になっているからというわけではないのですが、その火事現場の描写が序盤からものすごい迫力で描かれています。
そんな危険な現場に赴き消火活動と人命救助を行うのが特殊消防隊の隊長であり代々火消しの家系である渡清志郎なのですが、とある火災現場で彼は驚くべき事態に巻き込まれてしまいます。
その後、彼は江戸の歌姫シオンと出会うことになるのですが、浅からぬ因縁をもつ二人は手を携えて、ある使命を全うするために全力を尽くすことになります。
その使命とは、憎悪の炎から大切な人と世界を守ること──。
最新話ではいよいよクライマックスを迎え、清志郎とシオンが数々のピンチをくぐり抜けて使命を果たそうとしています。
緩急のついた展開ときっちりと整えられた素晴らしい筆致で、物語に引き込まれたら一気に読み進めてしまえます。
クライマックスをリアルタイムで追うなら今がチャンス!
二人と作者様を応援しながら、ぜひその迫力を楽しんでください(^^)
でも最後になんか嬉しいホッとする気分になるのは何故?
一言でいうと江戸と東京、時間と場所をまたにかけた人情物語・・・。
という表現では括れないなぁ、時間を超えた恋愛小説・・・とも違うし。
結局、小説の王道をベースにさまざまな分野のエッセンスを放り込んだ作品に仕上がっている。スパイスは、江戸の人の粋と心意気+現在の都会人の信念と意外なモロさ・・・かな。いい塩梅に柱になってる気がします。
全般的に長編ものというのは、エンジンがかかり加速しだすと一気に盛り上がりいつのまにか次の展開をワクワクして待っようになる。
そこまでにいかにして飽きさせずつなげていくかということがとても重要になると思います。その辺の進化を感じますが、まだまだ進化できる要素を持っていると思います。今後の作品も楽しみです。
(なんで上から目線なの?と言われるかも知れませんが、読者はたいていそういうもんなんで・・・笑・・・汗)
RAYさんの作品全体に共通するキーワードは‘人を想う気持ちの強さ’だと勝手に思ってるですよね。その大切さと持っている無限大のエネルギーみたいなものが読み終わった満足感に混じって後味のように心に残る。
人柄と共に作品が多くの人に愛されるのはそこなんだと思う。