パニックものなのに抱く不思議な読後感

ゾンビパニックものと聞くと発生初期の混乱と逃避行、ホームセンターでの物資収集、立てこもりと悪化していく人間関係等、ある程度テンプレ化した物語が浮かぶ。
そのテンプレこそが醍醐味であり各種媒体を漁ってきたが本作は少し毛色が違う。

ゾンビの存在は既に認知されており、非日常と距離を取りつつも付き合っていく人々。高齢化に伴い身近に感じる死、だからこそ強まる死者とそれに携わる者への畏敬の念。

怖いもの見たさで読むパニック物では感じない、厳かで静謐な空気感と、悲しく切ないのにどこか安堵するという読後感はいい意味で期待を裏切ってくれました。

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