未来の暗殺拳、暗殺拳の未来

 せっかく一子相伝の暗殺拳、殺人拳を身に着けたのに、その技術が暗殺や殺人にしか使えない――そんな悩みを抱えていた全国の少年少女の。
 そして、自分の子供に暗殺拳を伝えるか悩んでいた親達の。
 これは希望だ。

 プレイヤーの技術がダイレクトに反映されるVR格闘ゲーム。この中で、暗殺拳の使い手は初めから大きなアドバンテージを持つけれど、それが絶対的な強者となれるかと言えば、決してそうではない。
 これが「ゲーム」だから、力や速さを補正する能力値の割り振りや、非現実の効果をもたらすスキルの存在、ゲーマーとしての経験の差、ただそれだけでもない。

 暗殺拳の「初見殺し」という最大の強みを、「殺された人を見る」ことで、また「一度殺される」ことで、削ぎ落とすのだ。このバランス調整が熱い。ストンと落ちる。
 故に、暗殺拳はチートであり、チートではない。だから戦闘は緊迫するし、成長を実感するし、物語に没入する。暗殺拳で殺されても死なない者がいるからこそ、全てのプレイヤーに成長の余地があり、未来の可能性がある。

 暗殺拳はまだ輝けるし、暗殺された者を輝かせる力もあるのだと知った。

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