猫はそれぞれ、何のために人の言葉を話すのか。

すべての猫が一生に一度だけ「人の言葉を話す」ことができる世界。
それぞれの猫が、それぞれの目的で、それぞれの相手に使う限られた奇跡。
猫飼い「かのこ」の飼い猫「ハイデルベルク」は、何を意図し、その機会をどう使ったか?

言語は意図を、想いを伝えるための道具ですが、思考のための道具でもあります。
人の言葉を使う瞬間は、猫も人の語彙で思考するのでしょう。
猫はまず猫の言葉で思考し、人の言葉で何かを伝えたいと思った相手に、人の言葉で思考した言葉を告げる。
その「一生に一度」が終わった後も、人の言葉で思考した記憶を、猫の言葉で思い返すこともありましょう。

短い中でも主人公達を好きになり、その未来の幸いを祈りたくなれるお話です。

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