四肢奮迅

 右手で右手を、左足で左足を動かす。それだけ。
 厳密にはもう少し複雑ですが、この作品のロボ操縦法はこのきわめてシンプルかつ直感的なものを根幹としており、読み手に分かりやすさと共感を持たせることに成功しています。
 まさに自分の手足でロボを動かすという感覚。己が四肢で巨体を自在に操る臨場感。読んでいて思わず足を踏み込むほどです。

 序盤の楽しく幸せな展開から急転直下、一気に深刻な状況に叩き落とされる中でアキラはゲームではない「本物」のロボットに乗り、「本物」の戦いに身を投じることになります。

 その戦いの果てには何があるのか、アキラはその「足」で行くべきところにたどり着き、その「手」で何かを掴み取れるのか、それは文字通り彼の手足にかかっており、これから存分に獅子奮迅ならぬ四肢奮迅の大活躍を見せてくれるはずです。

「手足」で戦う直感系ロボットアクション、どうぞ四肢の先端まで味わってみてください。

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