第四の壁の向こうから、首を絞められるほどの弾劾を。

 SNSによる誹謗中傷はよくない、といった程度のことを作品を通して伝えたいだけなのかと思えば後半で流れが若干変わり、ラスト数行で度肝を抜く展開に変じ、「ほおぅ……やるじゃない(震え声)」と思わせる。

 この作品は喪主の一人称で、葬儀会場から中継を通してテレビの前の人間にも語りかける口で進んでいくが、これは今こうしてパソコン等の画面を通して作品を読んでいる我ら読者に喪主が直接語りかけている、すなわち演劇でいうところの「第四の壁」を破ってきていると捉えることもできる。
 つまり読んでいる我々もこの葬儀の参列者に「されてしまって」いるのだ。

 半ば強制的に参列させられたこの葬儀会場で、喪主に「直接」語りかけられる内容。
 カクヨムというネットのツールを使っている我々も、他人事として聞き流すことはできないだろう。
 最後まで聞き終わるまで、途中退出は認められていない。
 

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