2万字程度の短さでありながら、骨子のあるストーリー展開で、闇の稼業で生きる者の定めを生々しく描いています。 潜入・暗殺シーンの張り詰めた描写も見事で、読んでいるこちらも思わず口を手で押さえて息を殺してしまうほどです。 闇に生きる者の生きざまと定めを、老練な忍びを通して見届けてください。
骨太の歴史中編小説。忍びの生きざまを追う筆致に、胸がつまります。時代を描写する筆力がすばらしい。町の雰囲気、忍びの思い、しっかりと描かれており、ありありとその「世界」が脳内に浮かびます。史実を扱うというよりは、忍びという存在に焦点を当てた、エンタメ寄りの時代小説。軽くはない、この物語。もっと多くの人に読んでほしいと思います。