「オネエ探偵」は、ライトミステリ王道

キャラミステリの基本は、ホームズの時代にすでに確立されている。個性的な名探偵と常識人の語り手が絡んで様々な事件を解決する――と。つまり探偵役のキャラ立ちが重要。

近年のライトミステリでは、ただ奇想天外な探偵役ではダメ。奇人変人探偵では、古すぎる。現代日本の読者層に共感を持ってもらえるキャラ造形が重要になる。

本作はそこがオネエ探偵という。男も女も感じさせないオネエキャラは嫌われにくいので、バラエティでも普通に愛されている。まさにライトミステリ向き。いいとこ目をつけたなと。

繰り出される事件群も、最初の他愛ないものから次第にミステリ味が強まる構成。要は「キャラにつられて読み始めた」初級者を、うまくミステリ泥沼wに引きずり込む策士の構え。

個人的には、毎回事件解決後、語り手の女の子をうまく救ってあげる優しいエピソードが好き。それはオネエ探偵の優しさであると同時に、作者のキャラ愛なわけです。

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