海が消えた世界。過酷な社会で生きる少年達のリアルで豊かな生き様がある

※非公開にするかもとのことですが、記念にレビューを書かせていだだきますm(_ _)m (2018/7/16)

『ジョンとデレクが生まれるよりずっと前、海が消え始めた。』
冒頭のこの一文で、一気に作品の世界に引き込まれました。

砂漠化した世界は過酷さを増し、人々は生き抜くために貴重な水と食糧を求めて戦車で移動生活を送っていた。戦車はどんどん巨大化し、衝突も絶えない。そんな争いの犠牲になり続けていた少年たちは、ついに大人たちに立ち向かう。革命を起こすのだ――。

描き方や語り口から本当にそうなんだろうと自然に思わせてしまう巧みで距離感の絶妙な描写は、SFやファンタジーといった言葉では片付けられないほどに、リアルで、豊かで、臨場感にあふれています。

けして一人の人物に偏りすぎることのない多面的な人物描写が、さらに作品の世界を奥深いものにしています。

そしてリアルな世界にふと訪れるファンタジー。

もしかして今あたりまえに見ている世界には、もっともっと広い世界が広がっているのではないか。
そんな気持ちにさせてくれる、多様で、豊かな、奥深い作品です。

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