このケゲルの行方は?
- ★★★ Excellent!!!
冒頭よりじわじわと押し寄せる恐怖。
戦士の力を与えられ、戦いに巻き込まれる主人公。そしてそれを取り巻く家族、友人、そして警察。
これは人の少年が、足掻き、葛藤し、苦しみつつも戦士として成長してゆく物語である。
ただ、やはり気になるのは、設定があまりにも「仮面ライダークウガ」であること。
また、読みやすさを優先するためか、共通コードが多い。
たとえばヒーローであるエルガイアの外見に関して、その記述がほぼない。それは敵のミュータントも同様。
文章力が高いゆえに、特撮好きの目には、どうしてもクーガとグロンギの姿がちらついて離れない(笑)。
「学校」や「警察署」はまだしも、「ヒーロー」や「怪人」まで、読者の記憶に頼り、「ほら、わかるでしょ」的な描写にたよるのは、まるで二次小説のようだ。
だたし、これは描写の上のことであり、本作で描かれる人間たちの、熱く、血がたぎるようなドラマは一級品。逆に特撮的な部分を「共通コード」化することによって、それが引き立っているのも事実。
でもやはり、個人的には、「名刀は、それに相応しい鞘に収まっているもの」だと、思うのだが。